misskeyサーバの1つである9ineverseがとうとう閉鎖したようですね。
9ineverseそのものは学生企業なんですが、そもそも学生企業自体が難しいという話を挙げておきます。ということで今回は半ば叩き上げで役員的な立場になったということもあって、学生企業がなぜ難しいかを知ってもらえればいいのかなと。
めちゃくちゃ親と学校に甘える
ちょくちょくある学生企業ですが、基本的には企業する時に学生はお金を持ってないことがケースとしては多いんじゃないかというところです。
別にそこらへんの出資を他に頼るところは良いんですが、のっけから言ってしまうとその出資元に甘えて事業活動を行っていくことがおざなりになったり、そもそも会社としての体を成していないことになってきます。
あとは友人どうしで会社を続けていくということも多いと思いますが、これもこれで甘える要素の1つになってきます。会社がきっちり体を成していくには経営活動から主観をできるだけ排除していくことが必要不可欠です。主観的な要素が増えすぎると今度は中立的な観点で物事を判断できなくなるので、もっぱら判断ミスが増えていきます。昔は事業を行っているのが1、2社しかないなんてことがざらになったわけですが、今は競合他社が大量にあふれる時代です。下手な判断ミスが命取りになります。甘えはこういうところで妥協を許してしまう要素の1つです。
ビジョンが抽象的すぎる
これはよくベンチャーでも起きる話で、事業のビジョンがとどのつまり「未来像」から脱却できていないことで軽率にピボットします。その結果ついていけない人が多くなったり、そもそも事業活動をしたいが何をしたらいいのかわからない…といったことが多発して、そもそも会社を続けるモチベーションが減ってしまうということにつながっていきます。
ピボットは出来るだけ最小限であるべきで、会社名然り事業内容然り最初はちゃんとゴールを決めた上でEXITするのか長期的に続けていくのかという判断をしていく方が堅実です。(※そうでもないケースは割とありますが、大体が同じ業界内だったり。SIer・受託→SESやその逆でSES→自社開発のようなケースも。)
ビジョンが抽象的すぎると、「このイメージがいいかもしれない!」で簡単にゴールも事業内容も変わってきますし、それに応じて必要な人材もガラッと変わってきます。でも人材は簡単に調達できないので、ついて行けない人が増えて、結局事業をするための体力がない状態に陥っていきます。
まあ、結局ゴールを決めても判断ミスしたりでピボットせざるを得ないのもありますが。
失敗しても”いいや”という風潮
どんな企業にもよくありますが、失敗は失敗以上の価値を生みません。前述のピボットの下りとほぼ近いんですが、失敗すればピボットすればいい、資金調達すればいいといった形で安易な失敗を許容してしまうことになります。
塵も積もれば山となる、とあるように、失敗が増えすぎることに対してあまりにも寛容しすぎて、そもそも会社として利益を上げていくことへの執着がなくなっていくことで、資金が減ったり人材が減って会社が立ち行かなくなってきます。
失敗しても良い、ただし最後は成功で収めることがコツですが、なるだけ失敗の数も減らせることが利益を稼ぐためのコツでもあります。ただこれこそが難しく、ノウハウが直に必要になってくるところです。
大言壮語
要はこういうことです。現実を見ましょう。
〇〇を実現させる!とはありますが、じゃあ具体的にどうやって?というのを聞くと全く返ってこないことが多いです。ビジョンが肥大化しすぎて結局のところやる気を失ったり、どうすればいいのかという方法論ものっけから議論がなくなったりとモチベーションの低下から事業が自然消滅することになります。
最終的なゴールを決定するのはもちろん大事ですが、ロードマップをしっかり作った上で事業のゴールを立てるか、もしくはゴールを立てた後で具体的にどうするかを経営陣に限らず社員従業員と練り込んでいく必要があります。特に若い会社の場合は本当にゴールを決めるのが難しく、競争力がないからと既存企業との競合を避けるために安易に大きなイメージに頼る傾向があります。
そもそも競合がないということはブルーオーシャンか、そもそも餌がない海です。そのどちらなのかというのをしっかり考えた上で事業設計を立てる必要があります。もっぱら、ブルーオーシャンを見つけるということ自体も難しく、すでに食い尽くされた後の海でもがくのがほとんどになってきます。
色々書きましたが要は身の程を考えないと学生企業は無理ってことです。おわり。