ニコイチ個体の祖、Auto Takumar 55mm/f1.8

今回はAuto Takumar 55mm/f1.8について触れることにする。知っている人なら「あれ?Auto Takumarって55mmだとf2.0じゃないか?」と思うのだが、55mm/f1.8でも実はれっきとした標準レンズとして扱われる。

Super Takumarとの違い

結論から言ってしまうと、外見はない。見た目的にはSuper Takumarの初期型とあまり変わらず、Auto Takumarをそのままf1.8にしただけじゃないかという評価で良い。写りにしろ、モノの作りにしろいずれもSuper Takumarの初期型そのものだ。

Auto Takumarと自称しつつもSuper Takumar並のスペックを持っている。

びっくりすると思うが本当に一見するとSuper Takumarと変わらないのである。

ただよく見るとAuto TakumarとSuper Takumarでは光学系の作りが違う。前から、横から見ても変わらないものの、後玉が違うのでAuto TakumarとSuper Takumarを見分けることが出来る。

基本の設計はそのままに、入光量を稼ぐ関係で口径が46mm→49mmになっている。だからこそのf1.8なのだ。

Super Takumarで49mmになると思いきや、実際はAuto Takumar 55mm/f1.8から49mmのレンズ径を採用していることになる。これは意外と気づかない盲点だ。

アサヒペンタックスを収集しているとこうやって様々な観点からの検証を自ずとやるハメになる。見てくれは同じレンズでも、中身は別物というそんな世界はアサヒペンタックス、旭光学の世界には存在する。

前玉を見ると明確に両者が違う存在だと捉えることが出来る。本家Auto Takumarの方がやはりそれっぽい見た目。

旭光学工業のひと癖

旭光学工業といえばこういったニコイチ個体が数多くあることが知られている。この理由としては”実験個体”をわざわざ作って検証する余裕がない点を挙げる。販売製品レベルでの試作を行い、そのまま新製品へと移行するため、結果としてニコイチや辻褄が一見合わない個体が大量に存在する状態を産んでいる。

具体的な例としてはTakumarのマウント変更、Auto→Superへの移行、Super→SMCへの移行が有名。他にもAchromatic Takumarが当時現行品の筐体を流用している。

今回のAuto Takumar 55mm/f1.8はそんなニコイチ個体の一つで、試作要素の強いAuto Takumarと呼べばいいだろうか。Super Takumarで本格的に採用されることになった機構が搭載され、「お前は今日からSuper Takumar・・・じゃなくてまだAuto Takumarね」と銘を押される、そんなストーリーを感じさせるようなスペックだ。

この後に出てくるSuper Takumar 55mm/f1.8の登場で、世界は旭光学にまた一つ驚くことになる。

Auto Takumar 55mm/f1.8で歴史を感じよう

長年にわたるアサヒペンタックスのシリーズにおいて、そんな試作感を漂わせるのがAuto Takumar 55mm/f1.8。スペックはそこまでSuper Takumarと変わらないが、その歴史の重みを感じることは出来る。当時の旭光学工業の技術者達が新しい時代を作ろうともがいていた時期に生まれ、後世の歴史を変えてしまうその夜明けを感じられる。

あえてこのレンズを手に取る機会は多くはない。しかし収集家なら目に付くだろうこのレンズ、ぜひともお迎えをして歴史の重みを感じて欲しい。

試作傾向が強い分、このレンズの個体数は少ないので、見かけて一度でも欲しいと思ったらぜひとも手に取ろう。同じSuper Takumarよりも安く、そして同じスペックが得られるこのAuto Takumarのポテンシャルは小さくはない。

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